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ほいくえVoice

【vol. 4後編】こだわりを捨てて広い世界を知ろう

更新日:2021.6.1|1(2週間) / 220(累計)

ピグレットさん

30代 保育歴10年目

 

ピグレットさんのインタビュー前編はこちら

 

-保育の仕事で一番大変だと思うことを聞かせてください!

 

保育の世界は狭いと感じています。だからか、保育施設といえば人間関係がもう...っていう話はどこに行っても誰と話しても聞く気がします。

 

-ピグレットさんが感じる「狭さ」って、具体的にどんなところでしょう?

 

保育はチームで行うので、担任になった先生たちとは二人三脚、四人三脚といった感じです。年度が始まると基本的にはその体制で一年走りますし、日々関わる時間が長い、「密」という言葉がしっくりくる。それは気の合う人とだったら毎日楽しいですが、合わない人と一緒に働くのはストレスになりやすい。業務の性質上一人になる時間があまりないので、息抜きをすることが難しいときもあります。

 

-人間関係に悩んだことはありますか?

 

「ラスボス」みたいな先生と一緒に仕事をして、辛かった時期はありました。

 

-ラスボスですか…強そうです。どんなことがあったか詳しく聞かせてください。

 

一人目のラスボスは、アナログというか昭和というか、指導も上下関係も厳しい人でした。「新人が休みたい日を選ぶな」といった雰囲気もあったので「元気に休まず一年頑張ろう!」と毎日元気と勢いだけで頑張っていました。

その後別のラスボスに出会った時は、私は中堅に差し掛かったところでした。期待される、任される立場に少しずつなっていたけどわからないこともまだまだある、そういう時期のほうが難しかったと思います。わからないことを気軽に聞きづらくなっていて、聞かないまま業務を進めてボロが出て信用を失ってしまったことがありました。自分の経験年数によって攻略法は変わってくるのかもしれません。

 

-それは話を聞くだけでも大変そうです…!切り抜けるコツはあったのでしょうか?

 

同期と慰め合ったり、先輩に相談して「あの人がこういう時はこうするといいよ!」と攻略法を教わったり。あとは、自分の言動を振り返る、やるべきことはちゃんとやろうと思うことです。

 

-自分の言動を振り返る、とは?

 

気持ちが乱れそうなとき、嫌なことがあったときは職場のトイレで気持ちを発散して一旦落ち着けます。そのうえで「あのときはこうしたほうがよかったのかな」とか考えるようにしています。あとは家族や友人に話を聞いてもらうこともよくあります。聞いてもらえるだけで楽になりますよね。

 

-保育士として、いま意識していることはありますか?

 

「こだわりを捨てて広い世界を知ろう」ということです。保育の仕事は専門職ではありますが、保育に関係ないと思える経験や知識でも、積み上げれば積み上げるほど自分の引き出しが増えて、保育士としても人間的にも厚みが増すのかなと実感しています。

最近たまたまドラッカーの本に出会い、初めて読んでみました。保育や自分自身と関係ないようで、読んでみたら誰のためにどんな仕事をしたいのか、ドラッカーの考え方が自分自身の保育観を再確認するきっかけになりました。

自分の目指す保育のために、もっともっと吸収して保育を追究していきたいですね。

 

 

ピグレットさんを表すなら「内省しながら前に進む人」だと感じるインタビューでした。「ラスボスといえど、子どものために働く人間なんですよね。誰かと良い関係を築いて仕事をしたいのなら、まずは自分の言動を改める、足りないことを補うことから。」ラスボス保育士との毎日は辛いこともあったと想像しますが、相手に寄り添い向き合って、さらには自分とも向き合う。逃げない姿勢と内省の心持ちが素晴らしいと思いました。

ピグレットさん、この度は貴重なお話をありがとうございました!

 

(2021.3 聞き手・編集:鏡味)

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