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ほいくえVoice

【vol. 5前編】なぜか引き込まれる保育の仕事

更新日:2021.6.1|0(2週間) / 203(累計)

Noguriさん

1991年生まれ 保育歴9年目

私立認可園 リーダー 1歳児クラス担当

 

−早速ですが、Noguriさんはどうして保育士になったのでしょう?

 

子どもが大好きとか、保育に興味を持つ経験もなく、実は保育というものをよく知らずに保育士を目指しました珍しいタイプだと思います。

高校卒業後の進路を考えるとき、ぼんやりと進学したい気持ちはありました。でも家の財政的に正直厳しい。そんな時担任の先生が進学就職(働きながら学ぶ制度)という形で、保育を学ばないかと持ちかけてくれたのです。午前は短大で講義を受けて、午後は夜まで工場で働く。それを3年間続けました。

めぐり合わせというか、あの時先生が見つけてくれたものが別の内容だったら、私は今ごろ全く違う仕事をしていましたね。

 

−進学して初めて触れる保育。心が折れることはなかったのでしょうか?

 

何度も挫折しそうになりました。自分は保育に向いていないと落胆したり、キラキラして見える友人を羨ましく思ったり。落ち込むたびに介護福祉士の母が「資格さえあればなんとかなるから頑張りなさい!」とお尻を叩いてくれました。母の言葉を刷り込まれたというか、とりあえず資格は取ろう、資格が欲しいという気持ちで学生時代は乗り越えました。

 

−保育士として働き始めてからは、いかがでしたか?

 

保育士になってからも、辞めたいと思うことはありましたね。最初の職場で一緒に組んだ先輩はかなり厳しい人でした。私のことを空気のように、基本的にいない存在として扱うんですよ。指導らしい指導もなく、挨拶しても無視されて。「あ、これは無理だ」と思いながら、見様見真似で必死に仕事を覚える日々。余裕がなくて、本当に辛かったです。主任が相談に乗ってくれて、力になってくれることだけが救いでしたね。

そんなある日、私は保護者から預かっていた薬を子どもに服用するのを忘れました。その時は反省を通り越して「私はもう保育士をやっちゃいけない人なんだ」と深く落ち込みました。一歩間違えると命を落とす行動だった、と。さらに毎日が辛くなってしまい、味覚がなくなったり、他の体調不良も続いたり。もうこの仕事はやめよう、という決意の朝を迎えました。

 

−退職を本格的に考えた、と。

 

朝起きて「もう私は職場に行きません。」と伝えました。電話ボイコットです。そうしたら普段温厚な主任がものすごい剣幕で「仕事はしなくていいから、とにかく出勤しなさい!」と。私の人柄や資質を認めてくれていて「あなたは保育士を続けるべきだ。」「ここで逃げたらこの先の人生も逃げることになる。」と、必死で諭してくださいました。回復に時間がかかりましたし、当時の私には厳しい言葉でした。それでも今振り返るとすごく愛のある、ありがたい言葉だったと感謝しています。

 

−辛い経験を乗り越えて、Noguriさんがいま保育を好きな理由ってどんなところなんでしょう?

 

うーーん…これという理由ってないのですが、なぜか引き込まれるんです。保育って本当に楽しいですよ。その想いは転職してからより強まった感じです。いまの職場は自分たちがやりたい保育を実践できる環境が、整っているなぁと感じます。働く人の考え方や姿勢にもそれが表れていますし、残業や持ち帰り仕事がない分みんな時間と心に余裕を持って仕事ができているように思います。

 

 

心が折れそうになったことも、辛い経験も、明るい雰囲気のまま丁寧にお話くださる姿がとっても印象的でした!「真面目な性格なので考えすぎてしまう」と仰っていましたが、その真面目さがNoguriさんの大きな持ち味。その時できること着実に、精一杯に力を尽くすNoguriさんの姿を見たからこそ、心から理解し応援してくれる方々に恵まれたんだろうなぁと想像できます。

 

NoguriさんのオリジナルHP「絵本企画」

 

次回のインタビューはNoguriさんが考える「令和の保育」をお届けします!どうぞお楽しみに!

 

(2021.4 聞き手・編集:鏡味)

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