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ほいくえVoice

【vol.18前編】子どもを「信頼」すること

更新日:2021.9.27|59(2週間) / 61(累計)

 

やまひろさん

30代 保育士歴17年目

企業主導型保育園 勤務

 

―保育士歴17年目のやまひろさん。日々の仕事に留まらず、保育・子育てに関する学びを広げられているようですね。その中で、いま目指されている保育士像とはどのようなものでしょうか。

 

つねに子どもを主体として考えていける保育士ですね。「子どもが主体」と言いつつも、結局は大人が主導している場面が多いのが現実ではないかと思います。そこをどのようにつねに「主体は子どもだ」と意識していくかですね。

 

―「子どもの主体性を尊重する」。それは当然求められることですが、大人主導に偏ってしまう現実も多いですよね。子どもを主体に据えた具体的なエピソードを教えていただけますか。

 

よくある事でいうと、玩具の取り合いでしょうか。どちらが悪いなどと大人がジャッジするのではなく、まずはそれぞれの話を聴く。「○○くんが使っていたから返して」などと大人が入りすぎないようにします。取った方も取られた方もそれぞれに想いがあり、それを感じきった上でどうしようか考える。それが学びに繋がるのです。その学びの機会を奪ってはいけないと思っています。他には、子どもの求めるあそびにできるだけフレキシブルに対応しています。戸外あそびをしたい子は先に出て、室内あそびをしたい子はもう少し室内の時間を取るなどです。職員数の関係で難しい時もありますが、子どものあそびを無理に中断してまで外に出すことはしたくないなと思っています。

 

―なるほど、できる範囲はあるものの、その中で子どもの想いを最大限尊重したいですよね。

 

そうですね。そのためにはチームワークが必要なので、周りの先生方にも自分なりに想いを伝えています。それは言葉だけでなく、姿で見せるようにも心掛けています。自分の行った保育によって少しでも子どもに変化があれば、その姿を見て興味を持ってくれる先生がいます。その先生たちに、自分の学びや考えを雑談がらみで気軽に伝え広めていけたらと思っています。また、自分で園内研修も作っていきたいですね。

 

―コツコツと取り組まれながら、やまひろさんの保育への想いを広げていっているのですね。

 

一方で伝えるのが難しいこともあります。子どもの主体性を重んじる事が、子どものワガママを生むことに繋がるのではと考える先生もいます。確かにそれぞれ考え方はありますが、私は、それってそもそも大人が子どもに対しこうあってほしいという「型」を持っているからだと思うのです。そして子どもがその「型」と違うことをするため、それをワガママだと決めつけるんじゃないかと。子どもからしたら、無理に当てはめようとする大人の方がワガママなんじゃないかなと思うのですよね。

 

―なるほど…「ワガママ」って、何をもってそう言うのだろうということですね。

 

保育士も人間です。間違えていいんです。やってみて、今のは違ったなと思えば他の手立てを考えればいいわけです。間違っちゃいけないと規範意識が高過ぎると、つい子どもを型にはめて考えようとしてしまいます。その子のありのままの姿を見て、できる事もできない事もすべてを受け止める。「こうしてあげたい」「こんな子に育てたい」と前のめりになり過ぎるのでなく、一歩引いて子どもを見る。そしてできない事もいずれできるようになるし、なんならできなくても大丈夫というおおらかな気持ちで構える。そういったことが、子どもを「信頼」することだと思っています。

 

―それが「信頼」することなのですね。

 

食事の好き嫌いもそうです。嫌いなものも一口は食べようねと無理に食べさせることがありますが、それは結局誰のためでしょうか。実は保育士自身が満足を得ることが目的になってないかと思うのです。子ども本人にとっては多少の自信になるかもしれないですが、食べられない物があったって別にいいよね。そのうち食べられるようになるかもしれないし、ならなくても大きな問題じゃないよね。そう思えることが「信頼」です。そして子どもは信頼される中で主体性を育んでいきます。大人が子どもに対し「頑張って○○しようね」などと鼓舞し過ぎるのは、応援しているようで実は子どもの成長を信じられていない側面もあるのではと感じます。大人のそういった姿勢に子どもも身構えてしまうのです。

 

―まずは大人が子どもを信頼する。その結果子どもも大人を信頼するようになるのですね。

 

愛情がたっぷりあれば信頼関係って築けますよねという考えは、愛情の押し付けになる危険性をはらんでいるとも思います。ボヤっとした抽象的な愛情論ではなく、「信頼」を伝えるやり取りを積み重ねていった結果、段階を踏んで関係は築かれるものだと思っています。

 

 

子どもを信頼したかかわりが子ども主体の保育と直結するのですね。「それをするのは誰のため?」と今一度問い直したい場面は多いなと共感しました。

インタビュー後編では、やまひろさんが現在学ばれていることについてご紹介いただきます。お楽しみに!

 

〈やまひろさん×保育のひとコマ〉

ファッションを楽しむことが好きで(独身時代のようにお金はかけられませんが)、自宅から職場まで5分足らずなのですが、必ず好きな服装をして通勤しています。仕事へのメリハリや、自分のリフレッシュ方法の1つです!

 

やまひろさんのTwitterはこちら

 

(2021.07 聞き手・編集:土屋)

 

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