三好冬馬さん
30代 保育歴12年目
公立保育園勤務
三好冬馬さんのインタビュー前編はこちら。
−ずばり、保育園がICT(※Information and Communication Technology(情報通信技術)の略語)を導入するときに一番大切なことはどんなことでしょう?
「ICTを進める理由を、当事者がきちんと理解しているかどうか」だと思います。「保育園でパソコンを使うとぬくもりがなくなる」なんてこともよく聞かれますが、なぜそう思うのでしょう?自分はシステム活用が目的になってしまうと、そうなりやすいと考えています。書類を書くことが目的、仕事になってしまっていると「それがパソコンになると、想いが込められる場所がなくなる!」の思考に陥りやすい。でも「子どもと接することを最優先にしたい」とか、保育の本質、自分たちが保育の中で大切にしたい想いが明らかであれば、そういう発想にはならないと思うのです。「子どもと接する時間(コンタクトタイム)を増やすにはどうしたらいいか?」の一つの解として、ICTが選択肢になるのではないかな、と。
−手段が目的になっていないか、という話は、仕事をしているとさまざまな場面で聞きますよね。いまの回答でもありましたが「なぜなんだろう?」は、日常生活でもよく考えることなのでしょうか?
そうですね。「なんでこうなんだろう?」は気になるタイプですね、屁理屈野郎というか(笑)苦しいままの状況を我慢することができない、どう考えても非効率だと思うことはしたくない、同じことはしたくない。疑問に思うことは意見して、助けてもらったり感謝されたり。次々と試行錯誤を進めるほうが自分にとって自然ですが、職場の中だと適応能力がないと思われるかもしれません。
前の園でICTに馴染んでいたのに、異動した先の職場がアナログだった。そのギャップややりづらさを我慢して受け入れながら、黙って働く同僚の話を聞くと「自分には難しいことだな」と思います。
−試行錯誤を自然にできる、は三好さんの大きな強みだと思います。「ICTを進める理由を、当事者がきちんと理解しているかどうか」という話に戻りますが、当事者とは具体的に誰を示すのでしょう?導入を検討して決めるのは経営者、園全体の方針に一番関わるのは園長、子どもと一番接するのは保育者だと思うのですが。
うーーん、難しい問いですね。全員が同じような意識だったら問題ないのですが、そうでない場合は園長が一番のキーパーソンだと思いますね。園長の存在は大きいです。
−保育の現場にいながら、ICTの導入にも携わってきた三好さんのお言葉は説得力がありますね。三好さんはこれからも保育士として働くことを考えているのでしょうか?
はい、ずっと保育士でいたいと思っています。
−もっと序盤に聞こうと思って後回しになっていたのですが、保育士として働く中で、一番楽しみを感じるところはどんな時でしょう?
子どもの成長を見られることです。自分が見立てたこと、観察したこと、自分の関わり方が実際にはどうなったか、どう影響したかとか。その相違が味わえる点、その辺ですかね。
−分析者のような回答!新鮮です。
保育者はみんなそうだと思いますよ、言葉にしないだけで。大きくなって嬉しい、保護者的な目線だけじゃないと思います。こういう風に関わって、子どものこんな姿が見られました。それは思ったとおりだったのかとか、やっぱり違ったのかなとか、あれこれ考えながら保育するのが、楽しい、やりがいなのかなと思います。
−保育×ICTには今後も関わっていくのでしょうか?
ICTは今の流れだと思うので、これまでの知識や経験をどう活かそうかは考えています。自分が導入するときすごく大変だったので、他の人の手助けにどうにかなれないかな、と。システム導入のフォローができたらいいのですが、こういったことは外の人ではなくて中の人がやるのが一番いいんですよね。その辺が上手く両立できたらいいなとか、いろいろ考えます。まぁ考えるよりも、次々やってみる感じですよね。
【三好冬馬さん×保育のひとコマ】
仕事用カメラは2つ。状況に合わせて使い分けています。今の夏の時期は右の防水カメラが大活躍。(三好冬馬さん)
今はとても楽しく働いている、という三好さん。その秘訣をお伺いすると、「誰かがどうにかしてくれる」「どこかに自分にとって良い職場があるはず」という考えから一度離れることだと、お話くださいました。変わるのも、変えてみるのもまずは自分。保育士業務の他にICT導入業務も遂行し、オンラインセミナーも主催。お忙しい生活だと思いますが、そう感じさせないのは自分軸を大切に、ご自身のペースを保ちながら試行錯誤を楽しんでいるからでしょう。三好さん、この度は貴重なお話をありがとうございました!
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(2021.6 聞き手・編集:鏡味)