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ほいくえVoice

【vol. 16前編】意見できる武器

更新日:2021.8.30|0(2週間) / 274(累計)

三好冬馬さん

30代 保育歴12年目

公立保育園勤務

 

−三好さん、この度はインタビューにご協力いただきありがとうございます!保育園のICT(※Information and Communication Technology(情報通信技術)の略語)化についてはインタビューでも話題に上ることが多く、今回は編者からオファーさせていただきました。ICTについては追ってお話を伺いますが、まず保育士になったきっかけを聞かせてください。

 

幼いときからずっとピアノを習っていて、「仕事でピアノが弾けたらいいな」と考えたことがきっかけです。高校生のときに保育園にボランティアで行ったら楽しくて、子どもと遊んでピアノが弾けて、仕事になるならいいぞと。

 

−そうなのですね。パソコンやシステムに詳しくなるのは、いつからだったのでしょう?

 

短大に進学したときに、初めて親にパソコンを買ってもらいました。学校の方針で「レポート課題などで使うから一人一台買いなさい」となって、当時は30万円くらいしましたよね。めっちゃ高いなーと思いながら音楽や画像の編集にハマって、「これはすごい、なんでもできる!」と感動しました。パソコンで何か作る面白さに気付いてからは、パソコン作業が好きになって、得意になった感じです。

 

−卒業後はどのような保育士生活を送られたのでしょう?

 

最初に“ザ・昔ながら”の保育園に就職しました。「手書きではなくパソコンで作業したい。」と言ったら「そんなのはダメだ!言語道断だ。」と。「あなたは字が汚いからパソコンで作業してもいいけど、監査で出す書類は手書きにしなさい」という条件付きにはなりました(笑)本当はダメなんだけど、特別いいですよ、みたいな。若手の意見や新しいことを取り入れる雰囲気ではとてもなかったです。

 

−古い体質の職場で、悩みや辛い気持ちを抱えて働く保育者もいるかと思います。そういった雰囲気の中でもできるだけ楽しく、なるべく上手く立ち振る舞うコツってあるのでしょうか?

 

体質的なところを一人で何か変えるとか、職員の人力だけ、情熱だけで何か変えるってやっぱり難しい。仲間を見つけることも大切ですが、「意見できる武器」があるといいかもしれません。自分が詳しいもの、強い思い入れを持てる何か、周りに頼ってもらえるものが一つでもあると、意見するきっかけになります。自分の場合はそれがパソコンとかICTでした。

 

−三好さんが保育園のICT化に関ったのはいつからなのでしょう?

 

10年ほど前に、当時の勤務先でICTを導入することになりました。「電算化委員会」が職員の中で立ち上がり、そのメンバーに選抜されたのです。初回の顔合わせで委員長を決めましょう、誰にしましょう、の流れで「じゃあ三好さん、やってください」となり、「えぇーーー!驚」っていう感じでした。

 

−若手保育士で委員長、大抜擢でしたね。もうパソコンといったら三好さん、の認識が浸透していたのですね。

 

園長のてんてこ舞いやパソコン作業をいつも助けていました。メールの使い方とか、プリンター設定とか、現場で対応しないといけないことは何でもやっていたので「こいつはパソコンができる」と思われたのでしょう。仕事がパソコンでできたらいいな、はずっと思っていましたし、ICT化が何を指すのか、当時はよくわからなかったですが「手書きよりは良くなるのかな」「今より良くなるんだろうな」と思い、その仕事を引き受けました。

 

−新しいプロジェクトを動かす、しかも二足のわらじですよね。当時は大変だったのではないか?と想像します。

 

わかる人、経験者が周りに全くいないんですよ。ネット検索も主流じゃない、担当部署もない。保育業務をしながら全部手探りで進めるのですが「本当にこれどうやってするんや!」「ICTの導入に立ち会ったことある人、いないの?」と、分からないことだらけでした。

 

−その状況をどうやって打破したのでしょうか?

 

保育以外の現場で経験者を探して、とにかく話を聞きました。介護業界や医療機関など。こういう時に一番参考になるのは、現場レベルのノウハウだとその時気付きました。保育現場のノウハウを学び合う場があるといいな、も考えていたことだったので「ないなら自分がやってみよう!」と、現在は保育×ICTのセミナーを主催しています。

 

【三好冬馬さん×保育のひとコマ】

仕事でもプライベートでもトラックボールを使用。PC作業を快適に使える環境をつくることも大事。(三好冬馬さん)

 

どうしたらもっと楽しくなるか考えること、失敗も成功も次に活かすこと、その姿勢こそが、新しいものを受け入れる秘訣なのかなと実感したインタビューでした。「いいなと思ったら自分で動きすぎてしまうところが、最近はよくないなぁと思っている」と語ってくださった三好さん。三好さんのその積極的な言動に、後押しされている人は周りにたくさんいると思います。その姿勢こそが今の三好さんの「意見できる武器」ではないかと思いました。今後も多くの保育者を、そして保育業界を頼もしく引っ張っていくことでしょう。

次回インタビューでは「ICT化を進めるために一番大切なこと」をお伺いします。どうぞお楽しみに!

 

三好さんのFacebookInstagramLINE@公式HPをご紹介いただきました!

(2021.6 聞き手・編集:鏡味)

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