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(特別号)【経営者Voice vol. 2】現場の声を聴かないと始まらない

更新日:2021.6.10|159(2週間) / 567(累計)

おとのんさん

20代 国家試験にて保育士資格取得

保育園運営会社 役員

 

−おとのんさんは今年4月に会社の取締役として、育休から復職されました。異例の大抜擢だったとのことですが、その時のことを詳しく聞かせてください。

 

今の会社での歴も浅くて、20代の役員は自分しかいません。打診があったときは嬉しいというより「え、私は違うんじゃないの?」というのが正直な感想でした。

一方で産休前の私は、全国に30ほどある保育園運営のリーダーとして現場を見てきました。なので「役員になることで現場がより良くなり、変わるきっかけに自分がなれるのなら」とプラス思考で、役員として働くことを決めました。これまで保育事業部出身の役員がいなかったので、会社の方針を保育事業部の意向なしに決められてしまうよりは、発言できる機会を持ちたいという思いもありました。

 

−おとのんさんの、現場の声を大事にする気持ちが伝わってきます。

 

「現場の声を聴かないと始まらない」と思っています。本部が「この人数でいけるよね?」と判断を下そうとしても、「いけるんだ」と鵜呑みにせず現場を見てから考えたい。自園を視察するときも、勉強させてもらう気持ちで出向いています。お散歩に同行させてもらったりして、実際に保育に入ることも。「加配がつかない子どもだけれど、人手が必要な状況。今の人数では難しいよね。」と、実際に現場を見て気付くことが多いです。

 

−一度疑ってみる、現場を見て考える、はとても大事な心がけだと思います。おとのんさんは前々からそのような姿勢だったのでしょうか?

 

この仕事に就く以前は、業界は違いますが私もいわゆる“現場”にいたのです。そして怖いもの知らずな性格もあって、本部に楯突くタイプでした(笑)違うと思ったら誰に対しても意見するので、直属の上司は厄介者だと思っていたはず。自分がそうだった分、業界や立場が変わっても、現場が本部に対していろいろ言いたくなる気持ちはわかります。

 

−現場時代の経験や想いがあるからこそ、本部に移っても保育園とのコミュニケーションを密にされているのですね。

 

コミュニケーションをたくさん取っていても、本部と現場の間に壁を感じることはあります…。経営側も公定価格の中で保育園を運営していて、複数の保育園を展開する上で守りたいブランドがあり、苦渋の決断をする場面もあるわけです。全ての声を吸い上げることは難しくて、変えられることと変えられないことがあるのも事実。中には「意見してもどうせ無理」「変わらないから」と、声を上げることを諦めてしまう園長もいます。「全部は難しくても7割なら変えられるかもしれないのに」「変化のヒントは現場にあるのに」と思うと、悔しさと課題感はありますよね。

 

−本部と現場の壁。どうしたら解消することができるのでしょう?

 

私が今すぐできる近道だと思うのは、本部のみんなが同じ方向を見ること、そして現場への歩み寄りの意識です。本部は限られた人員で一生懸命仕事をしているので、余裕を作り出すのは難しい。だけど現場に行く時には「本部の人間だから」とか「チェックする立場」といった意識は打破したいと思っています。

 

−現場を見たり職員の声を聴いたりするなかで、おとのんさんが感じる「保育者のすごさ」ってどんなところでしょう?

 

保育者は本当にすごいです!「子どもと遊ぶだけの職業でしょ」と思っている人もいると思いますが、小さな命を扱う仕事ですし、第六感というか「文章やマニュアル化できない仕事をできる人」だと思っています。後ろに目があるの!?特殊能力なの!?というすごいことを当たり前だと思って皆さん普通にやられている。すごい仕事だよ!はもっと言いたいですし、仕事に見合う対価をもっともらうべき職業だとも思います。0歳児の配置基準1:3がどれほど大変なことか、偉い人には実際にやってみてほしい。保育者には自分の仕事に自信を持ってもっと発信しようよ、改善のために諦めず一緒に戦おうよ、と思います。

 

−保育者が保育の仕事にもっと自信を持つために、必要なことってどんなことでしょう?

 

わかりやすく、賞与や給与に反映することも一つの方法だと思います。私の会社でもさまざまな取り組みを行っています。例えば全国の園長が「自園で一番素晴らしい連絡帳」を毎月ノミネートして、みんなで投票して全国一位を決める社内企画。全国一位に輝いた保育者は表彰されプレゼントが贈られるのですが、自園以外の人も自分の働きを見てくれることが、嬉しさやモチベーションに繋がっているようです。人事評価制度も工夫していて、職員全員がお互いを評価し合って、評価内容は本人にフィードバックします。さまざまな取り組みを行っていますが、ここで満足しちゃいけないな!と思っています。

 

−保育者のための取り組み、制度、そしておとのんさんの闘志も素晴らしい!最後に、保育業界は今後どのようになったら良いと思いますか?おとのんさんの想いをお聞かせください。

 

いつの間にか、どっぷり保育業界が大好きになった私です。素敵な保育者がたくさんいて、社会にとって保育園は必要不可欠な場所で、奥深い世界だなと。保育業界にハマったからには、自分の会社、身近なところに限らず「業界を変えたい!」という想いがあります。何から始めたらいいか?難しい問いですが、「子どもをちゃんと育てたい」「子どものために」という想いを、保育園に関わる全ての人は持っていると思います。お互いの間にある壁は、歯車が噛み合うきっかけがあれば案外簡単に解消するのかも!?とも。「子どもを預けてまで働くの?」という世間の声がなくなって「子どもを預けて働くのが普通!」となれば、保護者は自信を持って子どもを預けられる。そうすれば保育の仕事の価値がより高まり、保育者の社会的な地位もより高まるのかなぁと。経営者・保育者・保護者、みんなが自信を持って保育園と関わることができる状態、それが理想です。

 

 

【おとのんさん×保育のひとコマ】

壁面の制作物はラミネートして、繰り返し使えるものは再利用を始めてみました★

「保育」の時間を大切にしたいからこそ、そのために出来ることはまずやってみる、ダメならまた考える!

これからもその姿勢は大切にしていきたいなあと思っています。頑張ります!(おとのんさん)

 

 

より良い保育園運営をしたい。そのためには現場も大事、経営も大事。おとのんさんの想いがとても伝わるインタビューでした。「園長や保育者に育ててもらって、今の自分がいる」と、現場への感謝を常に忘れません。現場感覚・経営感覚に加えて、この4月からお子さまが保育園に入園し、保護者感覚も手に入れたおとのんさん。「保護者になると、これまで考えていたことは全然浅かったなぁ−!と反省することも、勉強になることも多いです。」とのこと。ある日お子さまの連絡帳にあった「避難車で外出しました」の記述に「可愛いー!」と反応するおとのんさん、一方「…避難車って一体なに?」と反応するご主人さま。「知らない人に保育を知ってもらうために、気を配ることがもっとありそう。自園にどう応用しようか?」と、考えるきっかけになったそうです。気になることを次につなげたい、なるべく多くの声を聴きたい、楽しいことはみんなで共有したい、そんな想いをひしひしと感じました。

おとのんさん、この度は貴重なお話をありがとうございました!

 

おとのんさんのTwitterはこちら。

 

(2021.5 聞き手・編集:鏡味)

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