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(特別号)【園長Voice vol. 8前編】感情の流れを、保育に活かそう

更新日:2023.6.5|5(2週間) / 120(累計)

yukieさん
60代 保育士歴30年目
企業主導型保育 園長
 
―yukieさんは保育士歴30年ということで、大ベテランですね!小さな子どもの世話が好きだな〜の気持ちが強く、保育を学ぶ養成校に進学したとお伺いしました。
 
短大で2年間学びましたが、大変忙しかったです。幼稚園教諭と保育士資格を取得するのに当時は「水泳」や「ソルフェージュ(楽譜を読んで表現する)」も必須だったのですよ。クロールで25m泳ぐことが課題になるのですが、泳ぐのは大の苦手で沈んだり溺れそうになったり、楽譜を見て歌うことも初めてで。「これは本当に保育現場で必要なことなのか?」と半信半疑しながら、泣きながら必死に学んでいましたね(笑)最近保育士の方に学生生活について話を聞くと、水泳やソルフェージュの授業はないところが多いようですね。
 
―大奮闘の学生生活だったのですね。養成校の教職員の方や、保育学生とお話することはありますか?
 
前の職場では就職担当として、新卒採用のため養成校にも足を運んでいました。その時感じたことは「学校の方針によってカラーがあり、そこにいる学生さんもそのカラーを受け継ぐ」ということでしょうか。保育学生の方は毎日学校で学んでいるので、当たり前かもしれませんが。
 
―保育学生の方に、伝えたいことはありますか?
 
笑ったり泣いたり、さまざまな感情をむき出しにして、楽しい学生生活を送ってほしいです。遊んだり恋愛したり、思うがまま過ごしてもらって、勉強はその次くらいでもいいのでは?と思います(笑)人の感情の流れを知っていること、身を以てたくさん体験していることは、子どもを保育するときにも絶対に活きてきます。
 
―よく遊びよく学べ、という言葉が浮かんできました。
 
あと前向きな気持ち、というものも大事に育んでほしいですね。保育園によって考え方や、そこでの仕事内容は違ってきます。大変なこと、覚えなければならないことはどこの保育園に行っても、保育の仕事でなくとも、必ずあります。別の言い方をすると覚えてしまえば、働きながら学んでいければ、経験がなくてもOKということがたくさんあるとも言えます。
壁に当たったとき、どうしよう〜と思うけれども、なんとかして立ち上がることができる。それは一人でなく同僚の力を借りて、でももちろん大丈夫です。立ち上がろうと思える前向きな気持ちは、働く上でとても必要だと思います。私も長年公立認可保育園にいて、企業主導型保育に園長として来て、書類なども初めてのことばかりで「これはなに〜」の連続でした。
 
―楽しむ気持ちと、前向きな気持ち、とてもよく伝わりました。いまは小規模な保育園の園長をされていますが、以前の勤務先は公立保育園で、100人規模の保育園での経験が長いと伺いました。小規模のよさはどんなところだと思いますか?
 
一番は子どもとも保護者とも、密に関われることだと思います。規模が大きいとその分、子どもや保護者にかけられる時間が短くなってしまうことがどうしてもありました。お迎えが立て込むので、保護者の方に「元気でした!はい!」と次々お子さまを引き渡したり、ホワイトボードで保育の様子を見てもらったりするだけ、なんてこともありました。小規模な保育園に来てまず驚いたのは「保護者の方とこんなにも話せるんだ!」という感覚です。お子さまの様子、保育園としての方針や考え方、日ごろから密に関われることで理解や信頼が深まっているなぁと感じます。
 
―見学に来られた保護者の方にも、小規模の良さはお伝えになりますか?
 
「ここは小規模な保育園なので、温かくじっくり関わることを大切にしています。お家だと思って、私(yukieさん)はおばあちゃんで、職員はお母さんだと思って、安心してお預けになってください。」と伝えています。
ただ大きな保育園にも良さはあると思っています。子どもが多いので自律が早まりやすいとか、競争心が芽生えやすいとか、もまれる環境であるとか。大きな保育園のこともお話しして、ご家庭の考えと一番フィットする保育園を見つけてください、たくさん見学に行ってくださいね、と伝えています。三つ子の魂百までと言いますし、お子さま、保護者にとってどのような環境が一番合いそうか?は考えてもらいたいと思っています。ひと昔は認可が一番で、認可に行けたら転園するご家庭が多かったですが、1歳児のお子さん7人中6人が2歳児に持ち上がりで、保護者の方にも選んでいただけている感覚があります。
 
yukieさん、温かな想いが伝わるお話をありがとうございました!後編では園長としての心がけ、より良い保育園を目指した取り組みについて、お話を伺っていきます。
 
【yukieさん×保育のひとコマ】
2023年2月のお誕生会の様子です。(yukieさん)
 
(2023.3 聞き手・編集:鏡味)
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