menu
ほいくえVoice

【vol. 25後編】やれるとこまでやってみよう

更新日:2022.1.31|0(2週間) / 171(累計)

野北ちかさん
40代 保育士歴10年目
認定こども園 リーダー
 
ちかさんのインタビュー前編はこちら
 
―ちかさんは子どもにも大人にも優しい、前後・裏表リバーシブルTシャツを保育士・母親の視点で開発、保育士業の傍ら新規事業として立ち上げられています。Tシャツを作るまでのことをお聞きしたいです。
 
私には3人の娘がいて、彼女たちの夢をフォローしたいと思っています。経済的な理由で娘たちの夢を諦めさせたくないし、好きなことをやらせてあげたい。そのためにできる限りの努力をしようと思った結果、新しい収入の柱を作ろうと考えました。正直な出発点はそういうところからです。
ただ、利益だけを追い求めるような仕事はしたくない。せっかくやるなら自分自身も熱くなれて、相手もその周りの人も幸せになって、みんながハッピーになれるようなことをしたいと強く思いました。そこで保育士の現場と自分の育児を通して「こんなTシャツがほしかった!」と思うTシャツの開発に至りました。
 
−前後も裏表もないTシャツとのことですが、編者の次男(当時2歳)は「前後関係ない期間」真っ最中ですね。かなりの頻度で前後反対、靴も左右反対でご機嫌に過ごしています。笑
 
1~3歳は多いですよね。それに加えて4歳以上でも、そういうお子さんはいらっしゃいます。本人はさほど気にしていないけど、大人は気になる。保育者の立場だと「前後が逆でもいいんじゃないの?自分で着られたんだから、いいじゃない!」と余裕を持って寛容でいられるのに、母の立場になると「あ~!また反対に着て…!」とフンフン言いながら着替え直して、大急ぎで保育園に送り届けて。職場で落ち着いたところで、「なんであんなことで怒ってしまったんだろう」と自分を責めてしまう。これは私の実体験でもあります。毎朝「できた!」を子どもたちに味わってほしいし、頑張っているママのため息を「よくできたね」のハグに変えられたら、親子で良い1日のスタートが切れる。親子で自己肯定感を高めてほしい。保育士としての自分と、母としての想いがこもったTシャツになっています。
 
−始めた動機のところで「新しい収入の柱を作ろうと考えた」とお伺いしました。ちかさんのように収入を上げたい、そのために何かしたいと考えている保育士もいると思います。
 
とてもよく分かります。私は園長にまず話をしました。「子どもを育てていくのにお金が必要なんです」「自分の力を存分に発揮していくのでよろしくお願いします」など。もし自分が園長の立場だったら「そうなんだ、頑張って!」と思うだろうし、「そういう事情や気持ちは言ってくれないとわからない」とも思うだろうし。
今回の事業を始めるときも「副業とか、どうなんですか?」と一緒に就業規則を確認して、Tシャツも見てもらいました。本業は保育士としてこれからも続けていきたいし、こっちも頑張りたい。みんな応援してくれています。
 
−職場の理解を得て、走り出してみていかがですか?
 
全然赤字です実は!笑 思っていたより難しいことがたっくさんありました。これまでずっと狭い世界にいたので、作った後、「届ける」ためのノウハウが全くないため難しさを感じています。想いが詰まっていて、機能性もあったら、好きな方が選んでくれるんじゃないかな、広がってくれるんじゃないかな、と甘く考えていたところが、そうじゃなかったのね!理想通りにはいかないね!と痛感しています。でも今、人生を賭けているので、やれるとこまでやってみようと思います。
 
−やれるとこまでやる、できる限りの努力はしたい、というキーワードは前編含め何回か聞いています。ちかさんの持ち味ですよね。
 
やらない後悔がすごく嫌なんです。「あの時やっていたら、今ごろ違ったかもしれないな」って思うのが本当に嫌で。挫けそうになることがあると娘たちに「もうカーチャン、だめかも」と弱音をこぼすこともあります。そうすると「頑張ってそうなったなら、いいと思うよ」と返してくれます。
 
娘さん達、お優しい!精一杯やることの意義を、ちかさんが日々背中で見せている証拠だと思います。きっと保育園の子どもたちにも伝わっているものがたくさんあるでしょう。私もとっても励まされた気持ちです。この度はご協力いただき、ありがとうございました!
 
【野北ちかさん×保育のひとコマ】
体力的にもハードで責任も重い保育士の仕事は保育業務だけではなく多岐に渡ります。よりシンプルにできる方法を考え、上の先生に提案すると取り入れてくれることもあります。よりよい保育は保育士が元気でなければ難しいことです。これからも自分を大切にしながら、保育を楽しんでいきましょう!(野北ちかさん)
 
あいすさんのTwitterInstagramはこちら。
(2021.11 聞き手・編集:鏡味)
 
  • この記事をシェア:

その他のほいくえVoice