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ほいくえVoice

【vol. 10前編】良い加減で大丈夫

更新日:2021.6.14|1(2週間) / 218(累計)

kiyokoさん

40代 保育歴21年目

私立認可園 主任

 

−この度はほいくえVoiceにご協力いただきありがとうございます!「若い世代の先生達の記事を読んで、とても勉強になることが多かったので年配者の感じていることも取り上げてほしい」とのメッセージが大変嬉しかったです。

 

「若い世代」とくくるのは適切でないかもしれませんが、いま身近で働いている若い方々もものすごく真面目。自分が5,6年めのときとは大違いで、そんなに真面目に考えていたかなって。なので日々感心していますが、真面目で良い反面考えすぎてしまう部分もあるのかなぁと。頑張っている保育者に伝えたいことは「良い加減で純粋に、保育をもっと楽しんでほしい」ということ。「いい加減」じゃなくて「良い加減」です。大人が楽しめないと子どもも楽しめない、安心して過ごせないと思うのですごく大切だと思います。

 

−保育を楽しむ、原点ですね!kiyokoさんの原点〜これまでを是非聴かせてください。まず保育士にはなぜなろうと思われたのですか?

 

保育士と看護師とで悩み、夜間の学校に3年間通いました。学費が安い、自分はデスクワークより動き回る仕事かな、人と触れ合うことが好き、子どもも好き、初めはそれくらいの理由でした。朝6時に家を出て仕事、その後授業を受けて帰宅は23時前、それを3年間。しんどかったですね〜!それでも若かったし一生懸命だったんでしょうね、今ではとても信じられない生活でしたね。

 

−仕事と勉強の、二足のわらじの生活だったのですね。保育士になる前に何をしたらいいのか、悩まれている保育学生もいると思います。何かアドバイスはありますか?

 

手遊びとかパネルシアターとか、専門技術の引き出しは増やしておくとよいと思います。今はYouTubeなどでも手軽に観られるので、それを元に友人同士で試しに披露しあうとか。私が通っていた学校はそういった実践的な学びがほとんどなくて、現場に出てから苦労しました。さらに緊張してしまう性格ゆえ、練習したパネルシアターなのに子どもの前に出たら頭が真っ白に…子どもの前でもこんなにあがるんだなって(笑)流れもセリフも本当にわからなくなってしまって、子どもたちはポカン。全然関係ない歌を歌って笑って済ませた失敗談もありますね。まぁ当たって砕けて強くなりますから大丈夫ですよ。勇気を出すことが大切です。

 

−kiyokoさんの「大丈夫ですよ」はとても頼もしいです。最初の職場はどんなところだったのですか?

 

学生時代にアルバイトしていた大規模認可保育園に、卒業後そのまま18年間勤めました。いま思うといろいろ古い感じでしたね。研修に参加したい場合は、休日に自腹が原則。意欲があったとしても、みんなほとんど行きません。転職して初めて「研修って勤務時間中に実費じゃなくても行けるものなんだ!」って知ったんですよ。古いタイプの保育を未だに疑いもせず行っていて、勉強しようとする職員が少なく研修に行く機会もない。保育を取り巻く環境の変化を感じる中で、もうこの体質には耐えられないなと、転職を決意しました。

 

−kiyokoさんが保育士になった20年前と比べて、大きな変化を感じるのはどのようなことですか?

 

一つは保護者側のスタンスですね。20年前は「預かってもらえるだけでありがたい。ケガなんて大したことじゃない。」という感じでした。今は些細なケガでも、目くじらを立てて追及されてしまうことがあります…。「蚊に刺されるのはちょっと」という反応をされる方や、「顔にケガはやめてほしい(園児が自分で転んだだけなのに…!)」と意見される方も。一部の保護者ですし考え方もさまざまですが、20年前はあまりいなかったですよねぇ。

 

−保育の現場ではかなり気をつけていらっしゃるんでしょうか?

 

一度保護者に強く言われてくじけてしまって「ケガがない、細心の注意を払う保育」しかできなくなる傾向はあります。保育者としてケガがないようもちろん気をつけていますが、ちょっとしたケガはあるに決まっていると思うところも。保育者がこう言うと無責任だと捉えられるかもしれませんが、あんまりケガを気にしすぎるのも良くないんじゃないか、そういう想いもありますね。

 

−3男児絶賛育児中の編者からすると「少しのケガは仕方ないから、思いきり遊んでもらえたら嬉しいです(家のほうがもっと悲惨)!」が本音ですが、反応はさまざななのですね。そして2つめの保育園に転職された、と。

 

はい、新設園に転職しました。ただその保育園もいろいろな問題があり、この春正規職員11人のうち6人が一斉退職しました。当時の園長も主任の自分も辞めることになり、結構大ごとになりました。園内のゴタゴタを見て不安に思われて、転園されるご家庭もありましたね。

 

−なんと…それはまた大変でしたね。後編のインタビューにつづきます!

 

【kiyokoさん×保育のひとコマ】

脱力系の人形は手作りしたものですが、ベープサートはメルカリで購入したものです!

風船の歌に合わせて演じるのですが、魚介類なのが珍しいなーと思って使っています。作り物が苦手な人でもご安心を‼(kiyokoさん)

 

(2021.4 聞き手・編集:鏡味)

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