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ほいくえVoice

【vol. 11前編】保育園って本当はすごいことやってるぞ!

更新日:2021.6.27|2(2週間) / 407(累計)

ありーさん

30代 保育歴6年目

認定こども園 3歳児担当

 

−ありーさんは異業種から保育の世界へ、国家試験を突破し保育士になられたんですよね。きっかけはどんなことだったのでしょう?

 

保育園で英語とダンスを教えるアルバイトをしていた時期があるんです。就職を機にその仕事から離れていたのですが、何年かしてその保育園から「保育園を大きくするので保育士を増やしたい。誰か紹介してくれないか?」と問い合わせがあって。「私で良ければ働きますよ!」と、保育園で働くことにしました。働きながら独学で資格を取って、という感じです。

 

−全然違う仕事をされていたなかで、迷いはなかったですか?

 

当時私は30歳。今後もこの職場にいていいのかな?とか、自分自身の働き方を考えていた時期でもありました。アルバイトの経験から「保育園の雰囲気がすごく好きだ」と感じていたので、あまり迷いませんでした。

 

−保育園のどんな雰囲気が好きだったのでしょう?

 

子どもたちがにぎやかな空間とか、日中外に出て四季折々の風景を見ながら子どもたちと語り合うとか、健康的だなぁーって。

 

−たしかに健康的というか、人間らしい生活かもしれません。実際に保育園で勤めてみて「保育園っていいな」と思ったところはどんなところでしたか?

 

「保育園って本当はすごいことやってるぞ!」って言いたいこと、たくさんあります。お給料が安いとか、人間関係が良くないとか、アナログだとか、そういうことばかりが面白おかしく取り上げられますが、なかなか表に出ない、現場の保育者も気付いていないすごいところがあるんです。私は異業種から来たので気付きやすいのかもしれませんね。保育園はみんなが思っている以上に役に立っているし、もっと活躍の場があると思っています。

 

−例えばどんなところでしょう?

 

保育者は子どもに対して「保育のねらい」を定めて保育をしていますよね。言わば目標に沿った保育に努める、でもそれを子どもたちには意識させない、最短ルートで目指すわけでもない。何か製品を売る仕事だと、明確な目標があってそれに向かって効率よく最短ルートでどうたどり着けるか、っていう進め方ですよね。でも保育はそんなシンプルなものではないんです。たくさんの大人が一人ひとりの子どものために、知恵を振り絞って保育にあたっています。

 

−子どもを真ん中に置いて、さまざまな工夫がされているのですね。

 

例えば公園から帰ってきて「みんな、手を洗おうねー!」と園児に声かけしても、すぐに手を洗わない子もいるわけです。拾ってきた小物をねちゃねちゃ、大事そうに手放さない子とか(笑)どうすんのこれ!っていうのが本音だと思うんですけど。保育者としては「手を洗ってほしい」けれど、それをそのまま指示したり小物を取り上げたりしたら子どもはどう感じるだろう?と考えます。「それを触っていたらお部屋のおもちゃで遊べないから、手を洗おうか?」とか「手がかゆくなっちゃうんじゃない?」とか、本人の意思や自由を尊重しながらも清潔や安全に過ごせるようにも気を配る。保育の現場で編み出して自然に受け継がれていることだと思うのですが、「なんて面白い仕事なんだろう!」と最初は驚きましたね。

 

−家で「手を洗いなさい!」しか言っていない母です…見習わねばですね(反省)。そういう小ワザは保護者としても是非レクチャーしてほしい、知っていたら育児がもっと楽しくなりそうです。

 

家でお父さんお母さんがそうなってしまうのは良いんです、皆さん一生懸命育児されているので。ご家庭での養育があって、サポートする場所として保育園があって保育者がいます。

「主体性」や「生きる力」を培う場面は日常にあふれていると思います。何気ない、保育者が当たり前にしていることの中にも。

スプーンとフォークが使いこなせるようになって初めてマナーを学べるようになる。大人になった私が天気予報を見ながら「何着ていこう?」と考えて好きな洋服を纏えるのだって、幼少期にお着替えを教わって「肌寒いから上着を羽織ろうか?」と投げかけがあったから出来ることだと思います。その調整ができないと季節外れの服で出かけて風邪を引いたりして、体調管理ができないですよ。そんな小さな積み重ねでも、生きていくための土台作りをする場所が保育園だと思っています。

 

【ありーさん×保育のひとコマ】

その日の遊びに合わせて履いていく靴を変えています。普段はスニーカーですが、雪の日は思いっきり雪あそびをする為にブーツを。

夏はプールに合わせてサンダルを用意しています。1番重宝しているのは長靴。色水あそび、川や池作りなど、濡れても気にならない長靴が活躍してくれます。(ありーさん)

 

 

異業種から保育の現場に入ったからこそ、そしてありーさんの鋭い洞察力と豊かな想像力があるからこそ見える保育の魅力。ただ気付くだけでなく「これはなんでなんだろう?」と疑問を持つことや、初めての経験を「面白い!」と前向きに捉えられて大事だと思えること、これらもありーさんの持ち味だと感じました。何気ないこと、小さな積み重ねを大切に思うありーさんの姿からまさに「主体性」「生きる力」を感じられる時間でした。話していてこちらも元気をもらいました!

この度は貴重なお話をありがとうございました!

次回のインタビューでは「保育業界に入って変だなと思ったこと」をお届けします!

(2021.4 聞き手・編集:鏡味)

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