いくみんさん
20代 保育士歴7年目
企業主導型保育園勤務
―7年目にして、園長に継ぐリーダーという立場になったいくみんさん。そこでのご自身の目標をお聞かせください。
初めての立場でプレッシャーを感じますが、自分のことだけでなく園全体のことを把握していく必要性を自覚しています。そして、若手の職員も皆のびのびと保育ができるようつねに良い雰囲気で指揮を執ることを目標にしています。
―そのための課題は何でしょう。
必死になりすぎず、一歩引いて視野を広げることでしょうか。それから、クラスの垣根なくどの職員とも同様にコミュニケーションを取り、連携を図ることですね。
―具体的な取り組みを伺えますか。
いつでも話しやすい雰囲気を心掛けています。話してもらうためにまずは自分から気軽に声を掛けること。そしていつでも話しにおいでという優しい気持ちを言動で伝えるようにしています。笑顔で声が大きく前向きなのは自負しているところで、それを大いに生かしたいと思います。
―先輩の温かい眼差し、心強いですね。逆に後輩に求めるところはいかがですか。
もっと自分の意見を発してほしいですね。日々の保育内容一つとっても、意向を聞いた際なかなか答えが返ってこないことも少なくない。すると、ついこちらの意見ばかりを言ってしまうのが自分の改めたいところではあるのですが、とにかくまず一つ、調べるなり尋ねるなり何でもいいので意見を持ってくるようにと伝えています。間違ったって、そこから学べばいいんだよと伝わるといいのですが。
―若手に必要なのはやはり失敗を恐れず邁進することでしょうか。今だからこそできる失敗ってたくさんありますよね。では、いくみんさんの園のウリとはどういったところでしょうか。
先ほどからの後輩との話もそうですが、職員間の人間関係がいいと思います。だからこそ子ども達も落ち着いている気がしますね。
―素晴らしいですね。子どもも保護者も、職員間の関係って意外と見ているものですよね。いくみんさんの奮闘の成果ではないでしょうか。他にはいかがですか?
小規模な園だからこそ、保護者と職員の距離が近いことですね。保護者からの相談に対し、必要であればすぐに園長・調理師・看護師も対応し、担任だけでなく園全体で親身になって話を聴いています。いつでも気軽に相談できる専門家がいるって心強いだろうと思っています。
―ではさらに魅力ある園にすべく努力していることはありますか。
コロナ禍で保護者が園の様子を知る機会が極端に減ってしまったのは事実です。しかしその中でもできることはないかと日々考え取り組んでいます。先日初めてZoomでの保護者会を開催しました。職員ともそうですが、保護者同士のつながりも希薄になってしまっているかと思うので、「話ができて良かった!」と好評でした。また、家庭での様子を聴くこと、そして園での様子を伝えることの重要性を再確認したところで、ある気になる行動を取るお子さんの保護者にこちらからお声掛けし個人面談を実施したんです。すると、家庭と園とで考え方の食い違いがあり、子どもを混乱させてしまっていたことが判明しました。そして一貫した対応を一緒に考え取り組むことにしました。すると次の日から目に見えて子どもの様子が変わったんです。これには驚きましたね。家庭と園で連携することは子どもの成長にとって必要不可欠だと実感し、園からも保護者からも気軽に声を掛け合える関係だったからこそ、いい方向に持っていけたのだと思っています。今後も良い関係づくりに努めていきます。
―それでは、いくみんさんご自身のウリはいかがですか。
「子ども好き」「音楽好き」「製作好き」ですかね。とにかく子どもが大好きという事だけは自信があります。嫌なことがあっても、子ども達のことを思い出すと不思議と切り替えられ、笑顔を取り戻せます。また、たまにどうしようもなく落ち込むときは、音楽を聴くなどしリラックスしています。学生時代、楽器や声楽を専門に学んでいたこともあり、自前のサックスを園で演奏したこともあるんです。コロナの飛沫問題がなかったらもっともっと歌ったり演奏したりしたいのに…そこは残念ですね。音楽は子ども達にとって大きな楽しみにも癒しにもなると確信しています。そしてもう一つ、製作が得意です。手作りおもちゃや壁面製作をよく作り、サイトに出品したこともあります。
―まさに保育士としての魅力三本柱ですね。それらをより深め、保育に生かしていくためにさらに考えられていることはありますか。
乳児期から音楽に触れて楽しむことを目的とし、リトミックを行いたいですね。せっかくなら資格を取り、園内にとどまらず園外に教えに行くなどの活動もできるといいなと思っています。また、製作好きを生かし、おもちゃコーディネーターの資格取得も考えています。
―ご自身の特技を生かし保育士としての幅を広げようと考えられているのですね。どちらも子ども達が楽しむ姿を想像すると、資格取得に向け励めそうな気がしますね。
慣れないリーダー職でプレッシャーを感じていても、おそらくそれを思わせない明るさと安定感があるのでしょう。いくみんさんの生き生きと指揮を執る姿、得意なことに輝く姿、そして自分を高めようと励む姿に、後輩職員は必ず感じるところがあるはず。これからもご自身らしく、自信をもって邁進してくださいね。このたびは貴重なお話をありがとうございました。
〈いくみんさん×保育〉
自他共に認める製作好き。見るだけでも元気が出る、可愛い手作り玩具ですね!
(2021.5 聞き手・編集:土屋)