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ほいくえVoice

【vol. 36前編】こうやればいいのよ!に一石を投じる

更新日:2022.7.4|5(2週間) / 47(累計)

石井大輔さん
50代 保育歴24年目
IT開発会社勤務
 
―石井さんは現在IT開発会社にて、保育者向け情報サイトのプロジェクトリーダーを務めていらっしゃいます。保育現場での経験を活かしてのお仕事とのことですが、保育に携わるきっかけはどのようなことだったのでしょう?
 
知人が代表をしていた保育園があって、その知人が病気になって相談を受けたのがきっかけです。当時自分は金融業界で仕事をしていて、仕事にも仲間にも恵まれて充実していました。一方で知人が立ち上げた保育園も見てみると何かとやらないといけないことがあり、放っておけないなと手伝い始めたのです。
 
―サラリーマン生活と自営生活の二足のわらじ、忙しかったのではないかと想像します。最初から保育に思い入れがあったわけではなかった?
 
全然、最初はもう正直「仕方ない」という感じで(笑)
そのうち保育園が忙しくなってきて、転職してダブルワークしやすい環境に身を置いたりもしましたが、開園して5年ほど経った頃には完全に保育の世界に入りました。保育園の代表者となり、園長として現場にもどっぷり入っていましたね。
 
―その時に抱いた課題意識が、現在の活動にも繋がっていると。
 
長年同じ場所で保育園を運営していると、成人した卒園児に会うこともあります。卒園児とその家族の同窓会に招かれたときのこと、すっかり成人した卒園児の彼らを見て「彼らはあの頃から成長して、立派に成人になった。その間僕自身は何をしてきたのだろう」と考えてしまったのです。
 
―気にかかることがあったのですね。
 
「保育はこうやればいいのよ!」皆さんの職場の保育園でも、こんな雰囲気ないですか?声の大きいベテラン保育士がいて、その声にただ従うような雰囲気。周りの保育者も一緒に考えたり、議論したりすることを避け、「事なかれ主義」を貫いて自分自身が抱いた疑問や意見も飲み込んでしまうような。自分はこれを「レッテル保育」と呼んでいるのですが、職場全体がそうなってしまうと、変化することが難しくなります。これまでこういった雰囲気を助長していた、放置していたことに気付いてしまった。職員会議も世間話で終わる、その場で意見や質問は特に出ず、決まった後にあれこれ出るとか、あるあるじゃないでしょうか?
 
―あぁーそういう会議、会議後の会話、ものすごく想像できます(保育現場に限らず、心当たりあります。)。
 
こういった大人による「レッテル保育」「事なかれ主義」の積み重ねが、もしかしたら無意識のうちに子どもたちの可能性を摘んでしまっていたのではないか?解決したほうがいいのではないか?そんなことに気付かせてくれたのが、大人になって再会した卒園児の存在ですね。
 
―そこで20年以上携わった保育現場から、バリバリのIT会社に転向するところがすごいです!
 
50代にして大チャレンジでした。エンジニアが話す内容や専門用語がわからなくて、二度目の新卒を経験している感覚です。わからない、ごめんなさい、ありがとう、と伝えて、若い方にIT知識をシェアしてもらう、毎日勉強の日々です(笑)
 
―石井さんが保育の中で特に大事にしたい、と思うことはありますか?
 
子どもたちには気持ちのおさめ方を学んでほしいと思います。例えば子ども同士がケンカを始めると、止める保育者が多いと思います。止める前に子ども同士で決着すると、どちらの子どもも一旦距離を置いて、それぞれに小休止して、気持ちを落ち着かせるのです。その後は各々自分の遊びを見つけたり友達と遊び始めたり、何事もなかったようにまた活動できる。自分の気持ちを調整することは大人になっても必要になる生きる力。危険を避ける、怪我を防ぐことも大事なことですが、子どもたちに何を経験してほしいのか?保育者間や保護者とも、議論して保育を考えたいなと思っています。
 
石井さん、インタビューにご協力くださりありがとうございました!後編ではランニングやワークショップなど、課外活動についてお伺いしたいと思います。
 
【石井大輔さん×保育のひとコマ】
外部講師で招かれた大学での講義風景(石井大輔さん)
 
石井大輔さんのTwitterはこちら
 
(2022.5 聞き手・編集:鏡味)
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