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ほいくえVoice

【vol. 29前編】子ども視点で自分を見る

更新日:2022.3.21|0(2週間) / 210(累計)

こはさん
30代 保育歴8年目
社会福祉法人運営の企業主導型保育施設勤務
 
―こはさんは保育補助を経て、国家試験で保育士になったとお伺いしました。保育業界に入ったきっかけをお聞かせください。
 
大学では文学部で歴史を専攻していて、保育について未知だった私です。学生時代は人形劇を行うサークルに入っていて、子どもたちに人形劇を見せたりしていました。就職活動で悩んだときにそれを思い出し、8年前に保育補助として社会人生活をスタートさせました。
 
―保育補助として勤務しながら、2年間で保育士資格を取得したのですよね。働きながらの試験勉強は大変じゃなかったですか?
 
大変でしたけど、ためらいなく頑張ってみようと思いました。当時から保育士不足は叫ばれていましたし、国家資格を取っておいて損はないと考えていました。また今後のキャリアを考えたとき、育児などで一度社会から離れたとしても、その経験をプラスにしやすいのが保育という分野なのかもしれないという想いもありました。
 
―なんと、中長期的なものの見方が素晴らしい!その後さまざまな職場を経験されて、いまの職場が4園めだとお伺いしました。
 
これまで勤務してきたのは0〜2歳の乳児保育所ばかりです。規模は20人弱から現在の勤務先の100名規模まで、さまざま。知人の紹介やこれまでお世話になった先輩保育士に誘われて入職して、なんだか合わないと思って転職、ということを繰り返してきました。ちゃんと見て考えて職場を決めるべきだった、とはすごく思っていて。
 
―ちゃんと見る、というのはどの辺を見たらいいのでしょう?
 
園長と保育方針やどんな保育園を目指しているのか、どんな風に子どもに接しているのか、しっかり話をしたほうがいいと思います。今回は初めて、自分がしたい保育とその園が目指す保育、園長の考え等をじっくり聞いて、転職活動をしたつもりです。
 
―今回の転職活動はどう進められたのでしょう?
 
保育を実践し学ぶ中で、自分がどんな保育を目指しているのかを考えてきました。0〜2歳は人間の基礎となる、心が育つとても大切な時期。私は一人ひとりにゆったり寄り添いたいのだということを大きなテーマに掲げて、転職活動を進めていました。
また子ども視点で保育士としての自分を見た時に、私は安心感を与えられるような、寂しい気持ちや辛い気持ちも埋められるような、そんな保育士でいたいと思ったんですね。
 
―子ども視点で保育士の自分を見てみる、そこから理想像を具体的に導き出すという方法はとても新鮮で素敵だと思いました。いまの職場では、その理想を追求することが難しかったですか?
 
いまは1歳児を担任しているのですが、40人超の子どもに対して7人の保育者で、2クラス制で保育しています。みんなに目が行き届いていない、子どもたちに寂しい想いをさせているなと心苦しいこともたくさんあります。また椅子にちゃんと座らせることをよしとするような、乳児にも教育を重んじる雰囲気だったり、どこまでも一斉保育から抜け出せない余裕のなさだったり。広い空間におもちゃを1種類だけ出して、さあ遊ぼうね!という感じの保育が日常です。環境設定も子どもの主体性もなにも、正直あったもんじゃない。。。
 
―学べば学ぶほど、考えれば考えるほど、方向性に疑問を持ってしまったと。
 
教育も大事という方針も分かります。私は日常的な遊びや興味の中から、教育や学びにつながったらいいなと思っていて。それでもこのおもちゃはこう遊ばなきゃいけない!とか、これとこれを組み合わせて遊ぶのはだめ!とか、結果として子どもの創造性を奪ってしまっているような、大人主体の保育に加担している気がして、辛くなってしまいました。
 
―いま行われている保育は、園長の方針でもある感じですか?
 
園長の本心としてはもっと丁寧に保育したい、自由保育を目指したいと思っているような感じはありますね。でも本部だったり、母体となるこども園の方針だったりが大きく影響していて、板挟みに苦しんでいるような印象もあります。
 
―園長だけでなく、本部の方針も確認する必要がありそうですね。
 
そうですね。上に立つ人たちの考え方で、日常の保育の様子はかなり変わると感じています。
 
こはさん、踏み込んだリアルなお話をありがとうございました!インタビュー後編では、これまで出会った素敵な保育士、こはさんのキャリアプランなどをお伺いしていきます。
 
【こはさん×保育のひとコマ】
以前勤めていた園での1枚。子どもたちが積んだ野の花をプレゼントしてくれました。その気持ちが嬉しくて心がほっこり!そんな一枚です。(こはさん)
 
こはさんのTwitterはこちら
 
(2022.2 聞き手・編集:鏡味)
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